こんにちは、赤虎です。
大統領選挙で民主党・バイデン候補の勝利が有力になったころから、米国株市場では特定のセクターの株が大幅に値を上げました。
一つはテスラ(TSLA)やニオ(NIO)に代表されるEV関連の銘柄、もう一つはクリーンエネルギー、特に「燃料電池」に関連する銘柄です。
今回の記事では、この「燃料電池銘柄」に注目し、自分の頭の整理もかねて関連する情報を整理します。
前向きに資産形成に取り組む方の参考になれば幸いです。
- 燃料電池業界に関連する情報整理
- 代表的な銘柄の直近の動き
- 燃料電池銘柄の今後の見通しについての考察
- クリーンエネルギー関連銘柄に興味のある方
- 楽天証券に口座を持っている方
燃料電池とは
燃料電池とは、燃料(水素)と空気中の酸素を化学反応させることで電気を発生させる仕組みのことです。水素と酸素があれば、いつまででも電気を作ることができる発電装置のようなものだと考えてください。
小学校の理科の実験で、「水の電気分解」という実験をやったことがあるかと思います。水に電極を入れて電気を流すと「水素」と「酸素」が発生する、という実験です。
燃料電池は、あの実験の逆(水素と酸素を反応させて電気を作る)を行うものだと思ってください。
燃料電池のメリットとデメリット
燃料電池のメリット
- 発電効率が高い
- 音が出ないので静か
- コージェネレーション(熱電併給)でさらに効率Up
- 発電の際に排出されるのが水だけで環境にやさしい
- 燃料となる水素は、色々なものから作ることができる
- 設計の自由度が高く、多様な用途に使える
- エネルギーを貯蔵・輸送・利用できる
燃料電池のデメリット
- 価格が高い(電極に白金を使用する)
- 寿命が短い(平均7~8年)
- (燃料の)水素を作る時に二酸化炭素が発生する
各国・地域の水素・燃料電池への取り組み
日本及び諸外国の水素経済・燃料電池への取り組みについて調査した結果をまとめました。参考文献等がある場合は各項目の最後に記載しておきます。
日本
国内では経産省が水素・燃料電池の技術開発プロジェクトを主導しています。
2017年に世界で初めて水素についての国家戦略「水素基本戦略」を定めました。
「2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減する」という目標を掲げ、経産省主導で以下の各項目でロードマップに沿った取り組みを推進しています。
- 国際関係
- 要素技術
- CO2フリー水素
- 水素発電
- 燃料電池車
- 水素ステーション
- その他のモビリティ(産業用車輛、ドローンなど)
- 燃料電池技術活用(エネファーム、業務・産業用燃料電池)
- 革新的技術開発(水素製造技術、水素輸送・貯蔵技術、水素利用技術)
- 国民啓発、グローバルな水素社会の実現
■参考文献(PDFリンク):
平成31年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業
「水素・燃料電池戦略ロードマップの進捗確認及び国内外における水素・燃料電池利活用状況調査」調査報告書(2020年3月31日)
米国
民主党・バイデン政権下では公約「バイデン・プラン」の中でクリーンエネルギー経済を実現するために2兆ドル(約214兆円)を投資することが明示されています。
■バイデン・プランの主な要素
- 近代的で持続可能なインフラの構築
- 自動車業界の変革(輸送からの温室効果ガス排出量の削減)
- 建物のエネルギー効率向上への大規模な投資
- クリーン・エネルギー・イノベーションへの投資
具体的な取り組みも着々と進められており、例えばカリフォルニア州では大型バス・トラックでの水素利用が進められています。
さらに、AT&TやAppleなどの大企業や医療機関で燃料電池を事業用のバックアップ電源として取り入れる動きも出てきています。
中国
2016年11月、国務院は「第13次五ヶ年計画戦略的新興産業発展計画」を発表して、水素・燃料電池車産業を「戦略的新興産業」と国レベルで位置付けました。
2019年6月26日に、中国水素エネルギー聯盟(China Hydrogen Alliance)により発表された「中国水素エネルギー・燃料電池産業白書 」によると、水素エネルギーは中国のエネルギー体系における重要な構成要素となり、2050年までに水素は全エネルギー消費の10%を占め、水素需要量は6000万トンに近づくとされていて、2050年には12兆元(約190兆円)の産業規模となると予測されています。
■参考文献(リンク):
欧州連合(EU)
2020年7月8日、2050年までの二酸化炭素の排出実質ゼロを目指す欧州グリーン・ディールの一環として「欧州の気候中立に向けた水素戦略」の政策文書を発表しました。
政策文書では2030年までの数値目標を示し、必要な投資額を最大3,820億ユーロと試算しています。
さらに、巨額の投資を加速させる目的で「欧州クリーン水素アライアンス」の立ち上げを発表しました。
■参考文献:
JETROビジネス短信「欧州委、水素技術の実用化と普及に向け戦略を発表」
(2020年7月10日)
楽天証券で買える米国株燃料電池銘柄
楽天証券で買える米国株燃料電池銘柄を紹介します。
私もとても期待している銘柄たちです。
プラグ・パワー(PLUG)
1997年創業の燃料電池メーカーです。
amazonやウォルマートの倉庫で稼働するフォークリフトに搭載されています。
関連する会社に積極的にM&Aし、垂直統合モデルを構築しています。
企業名 | プラグ・パワー |
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市場 | NASDAQ(ティッカー:PLUG) |
ホームページ | http://www.plugpower.com/ |
ブルーム・エナジー(BE)
2001年にイオン・アメリカとして設立し、2006年にブルーム・エナジーに社名変更。
「どんなことがあっても停止しない量産型の燃料電池」のコンセプトのもと、データセンターや医療機関に設置する信頼性の高い燃料電池発電装置を提供しています。
AT&Tやウォルマート、アップルなどの優良企業や、病院・研究機関を顧客に持ち、有力なベンチャーキャピタルの出資も受けています。
企業名 | ブルーム・エナジー |
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市場 | NYSE(ティッカー:BE) |
ホームページ | https://www.bloomenergy.com/ |
フュエルセル・エナジー(FCEL)
1969年創業の米国の燃料電池開発会社。
「燃料電池の販売・リース」「燃料電池をベースとした20年以上コミットされた継続収入」「電力の販売/ライセンス/ロイヤルティ収入」「先端技術プロジェクトの収益」などが主な収入源となっています。収入の99%がストック収入で構成されています。
北米でトヨタと組みバイオマスから世界最大規模の電気と水素と水を造る施設を建設する事業なども実施しています。
企業名 | フュエルセル・エナジー |
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市場 | NASDAQ(ティッカー:FCEL) |
ホームページ | https://www.fuelcellenergy.com/ |
バラード・パワー・システムズ(BLDP)
1983年創業のカナダの燃料電池会社。
主にトラック、バス、鉄道、船舶、産業用車輛(フォークリフトなど)などに使用する燃料電池を中心に製造しています。
2015年にはドイツの高級車メーカー、Audiがバラード・パワー・システムズから自動車関連燃料電池技術の特許を買ったことがニュースとなっており、Audiの属するVWグループや同グループに属するポルシェの燃料電池車のベースとなるだろうことが推測されます。
企業名 | バラード・パワー・システムズ |
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市場 | NASDAQ(ティッカー:BLDP) |
ホームページ | https://www.ballard.com/ |
まとめ:燃料電池銘柄には夢がある
今回の記事では、水素・燃料電池についての現状を整理し、代表的な燃料電池銘柄についてまとめました。
水素社会の実現には、まだ時間がかかると思われますし、今回紹介した企業も赤字の状態です。
しかし、直近で大きく株価が上昇しているのは、脱炭素社会の実現がもはや”人類共通の目標”となっているからです。
過去、燃料電池株は2000年代にバブルを経験し、その後紙屑同然となってしまった歴史も持っています。(興味のある方はFCELのチャートを月足にして、2000年頃を見てください。きっと驚くと思います。)
しかし過去は過去。
これから先の未来はまた違う景色になるかもしれませんね。
&投資は自己責任でお願いします!
ではまた(-ω-)/
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